2021年以降、メタバースの活用が、日米欧中で急速に進展しています。2000年代にも日米でメタバースがブームとなった時期がありましたが、衰退した経緯にあります。今回は、コロナウイルス感染拡大に伴う非接触サービス提供の普及、スマホの普及、アバターのレベルアップ、代金・料金決済の簡便性・信頼度向上などにより、アメリカを中心として日欧中で、主として民間企業ベースでメタバースの活用が急速に進んでいます。
メタバースの活用は、今後、地方自治体・民間による地域振興にも生かされ、地域経済社会の課題解決に役立つ可能性があります。それは、自治体にとって、メタバースは優れたコミュニケーション手段であり、リアルと並ぶ仮想空間(バーチャル)によって、様々な行政サービスの提供や、住民自治への活用だけでなく、観光・物産振興を始めとする地域振興ツールとしても活用できるからです。観光についても、仮想空間上で旅行の疑似体験をすることにより、新たな旅行需要を掘り起こすことができる側面があります。
自治体によるメタバースの活用は、兵庫県養父市・福井県越前市・バーチャル沖縄などで試行されており、当面は、既に民間企業が活用している観光・物産振興の分野で活用されると思われます。今後は、メタバース住民(仮想空間上の住民)など関係人口の獲得につなげていくことが可能になると考えられます。
この点で、メタバースは、メタバース単体というよりも、街づくり全体に関わり、スマートシテイ・スーパーシテイ(大阪・関西万博におけるメタバース活用事例など)のパーツとして活用されることになる可能性が高いと思われます。
そして、メタバースを活用したスマートシテイの実現により、財・サービスのリアルとバーチャルの配分などを通じて、エネルギー・食糧など資源の効率的配分、高齢者・障碍者の社会参画の実現など、SDGsの達成にも資する可能性があると考えられます。
このように、メタバースという仮想空間ツールが、スマートシテイに組み込まれ、社会課題の解決に活用されながら、効率的な資源配分、公平・公正な社会形成という、SDGsの目標達成に資する可能性があると考えられます。
将来像を描くには時期尚早ですが、少なくとも部分的に、観光・物産振興等の分野から始めて、自治体行政運営に活かしていくことが可能と考えます。