コラム

NBCラジオおはようコラム 11月16日放送分 「トランプ米新大統領と長崎県経済」

2016年11月28日

※毎週水曜日8:25から、NBCラジオ「平松誠四郎のおはようラジオ!」内でシンクながさきスタッフが地域・経済に関するコラムをお伝えしています。


アメリカの大統領にドナルド・トランプ氏が選出されました。その直後、日本の株価は下落し円高となりましたが、アメリカ市場は新大統領就任を好感してドル高となり、株価も大幅上昇となりました。トランプ大統領が選出された背景には、格差社会となり、白人の製造業労働者層を中心に、雇用・所得に対する不満が充満していたことがあります。現在のアメリカは、「アメリカン・ドリーム」を追い求められない、無力感・閉塞感が社会を覆っています。私は、若い時にアメリカで生活し、若き実業家・トランプ氏を見ていたので、よくわかります。閣僚人事が明らかになる過程で、トランプ大統領が現実主義者であり、不動産を中心とする実業家で、「交渉」を得意とした人物であることが鮮明に表れると思います。国内政策としては、所得税・法人税・投資減税や、インフラ投資の推進に舵を切ると思われ、アメリカは、レーガン大統領以来の「強いアメリカ」を目指すことになると思います。保護主義等の動きにより、一旦は円高になることもあり得ますが、景気回復が軌道に乗れば、ドル高・アメリカ株高となり、世界景気を牽引する可能性もあります。

 長崎県経済は、外需に依存する造船・機械やインバウンド観光など、外需に依存する産業と、国内観光・食品加工など、内需型の産業に分けられます。目先のドル高の後、2017年にしばらく円高状態になる場合は、外需に依存する産業は現状より厳しくなることも考えられますが、円安の進行により、オリンピックに向けて緩やかに回復すると思います。長崎県経済の課題は、当面は内需型の産業の層を厚くし、今後来る外需型産業の環境好転に備えて、ロボットや福祉機器を含む製造業の高度化や、観光インフラ、ホテルの改装など、外国人対応力を高めることが肝要と思います。

  • 【日時】
  • 2016年11月28日

菊森 淳文

参与

菊森 淳文

きくもり あつふみ