レポート

今後10年で大きく変わる長崎の街

2017年05月08日

長崎市は、平成34(2022)年の長崎新幹線開業を目指して、様々な開発プロジェクトが進められています。大きく分けると、①長崎駅前地域開発、②まちなか(中心市街地)再開発、③港湾地域開発、④世界遺産関連地域整備、⑤出島・県庁跡地整備、の五つに分けられます。これは、国土交通大臣指定が「都市・居住環境整備重点地域」の一つとして「長崎市中央部・臨海地域」を指定し、長崎市が「都市再生プロジェクト」として取り組んでいるものです。長崎市「まちぶらプロジェクト」(長崎市中心市街地活性化基本計画)は、「陸の玄関口」である長崎駅周辺と「海の玄関口」である松ヶ枝周辺の整備により、これからの10年で、長崎の街を大きく変え、賑わいの再生を図ろうとするものです。地域ごとにみると、次の通りです。

1. 長崎駅前地域開発
  長崎駅前地域開発は、平成34年度に予定されている九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)の開業をターゲットとして、長崎駅前土地区画整理事業、JR長崎本線(在来線)連続立体交差事業(平成32年度)、新県庁舎等整備(平成29年度)、交流拠点施設検討、大黒町界隈の整備等が順次行われてきています。この地域は、今後長崎の街の顔としての役割が大きくなることが期待されており、鉄道・バス・路面電車等公共交通の結節点でもあります。交流拠点施設は、MICE(Meeting,Incentive Travel,Convention,Exhibition)施設やホテル・物販施設等から成る複合施設となる予定です。

2. まちなか(中心市街地)再開発
まちなか(中心市街地)再開発は、館内(かんない)・新地エリアから浜町・銅座エリア、中島川・寺町・丸山エリアを通り新大工エリアに至る地域を軸とする地域で、長崎市の代表的な中心市街地と歴史文化遺産を活かした観光資源が集積する地域です。このため、長崎市は、「まちぶらプロジェクト」を策定し、都市整備を進めています。館内・新地エリアの唐人屋敷顕在化事業、浜町・銅座エリアの浜町地区市街地再開発事業や銅座川プロムナード検討、新大工町地区市街地再開発事業等、長崎市の「まちなか」再生に向けた取り組みが進められています。

3. 港湾地域開発
長崎港の港湾地域(ウオーターフロント)では、既に整備された大波止の離島航路ターミナル・水辺の森公園に加え、海外からのクルーズ客を受け入れるため、松ヶ枝周辺エリアで「港湾施設整備構想」(国際ターミナルの2バース化)が進められています。

4. 世界遺産関連地域整備
長崎市の大浦・南山手エリアは、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」と世界遺産候補「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産が重なって立地する地域です(前者は旧グラバー住宅、後者は大浦天主堂)。その点で、長崎の歴史文化の重層性・多様性を最もよく表現している地域と言えます。松ヶ枝国際観光埠頭・旧香港上海銀行長崎支店から大浦・南山手地区を適切に保存・整備することが、将来の長崎の観光にとって最重要課題の一つです。

5. 出島・県庁跡地整備
出島は江戸幕府が海外との交易を認めていた場所で、平成28年度の出島中央部6棟復元、平成29年度の出島表門橋建築と進められています。出島の貿易を管理するために設けられた、長崎奉行所西役所が現在の県庁で、その点で、出島と県庁跡地は一体として整備・活用することが歴史的にも望ましいと考えられます。県庁跡地活用については、懇話会で議論・提言書が出され、歴史資料館・ホール・広場設置の方向で整備がなされていくと思われます。
これら5地域での都市再開発・整備を着実に進めることにより、長崎が新たな発展軌道に乗せることが期待されています。併せて、単なるハード整備にとどまらず、地域と地域を結ぶ公共交通機関等交通網の整備や、長崎の内外観光を推進するDMO(Destination Management Organization)・観光ICT(情報通信技術:Information Communication Technology)を活かした観光客誘致など、ソフト整備も不可欠です。

(当記事は『九州・沖縄 鑑定ジャーナル』number18に掲載されたものです)

  • 【日時】
  • 2017年05月08日

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ

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