7月下旬、金沢市での講演のため30年ぶりに金沢を訪問しました。金沢で気付いた点は、次の3点で、長崎の観光の将来に活かせると思います。
第一に、北陸新幹線の開業効果の大きさです。北陸新幹線は2015年3月14日に開業し、1年目で926万人で開業前と比べて3倍になりました。主要観光施設の入場者数も、兼六園で2015年度309万人で前年度比1.52倍に増加しています。このことから、長崎新幹線開業後は、観光客が3倍程度に急増することが考えられます。主要観光施設の入場者数も1.5倍程度に増加することがあり得ます。これに備えて、バス・タクシー・路面電車などの観光客の「足」の確保と、道路混雑対策が急がれます。
第二に、訪日外国人宿泊者数が、2014年で20万人、2020年で40万人と、実績・計画とも金沢と長崎はほぼ同数であることです。兼六園の外国人入園者数は、2014年で23万人、2016年で36万人と1.6倍に増加していますから、目標達成も近いということができます。ただ、金沢と長崎の違いは、金沢は欧米豪州人が多いのに対して、長崎はアジアからの観光客がほとんどです。これは、北陸新幹線開業で、東京からの誘客が進んだためと考えられます。長崎においても新幹線開業後、外国人観光客の急増が見込まれ、案内板やICTを使った案内システムが必要となります。
第三に、金沢21世紀美術館の賑わいです。この美術館は市民参加型の現代美術館で、入場料は1プログラム360円で、私が訪問した時には2プログラムの展覧会が行われていました。午前10時の開館時から約2時間、常に100人程度がチケット売り場に並ぶ人気ぶりです。長崎県美術館も全国的な人気美術館で、今後、美術館も集客施設の一つとして外国人を含む観光客に向けた情報発信も強化することが望まれます。
最後に、金沢駅及び周辺部が整備されて美しい街並みになっている点は長崎との共通点で、金沢駅から観光施設の多い香林坊への足が、100円バスなど、観光客に配慮された交通手段があり、この点は長崎も参考にすべきと考えます。