9月28日・29日、長崎県波佐見町で開催された、第23回「全国棚田サミット」にコーデイネータとして出席させていただきました。今回のメインテーマは、「棚田は21世紀の社交場―棚田で出会う、触れ合う、分かち合う」でした。私自身15年前から、波佐見町の街作りに呼んでいただいて講演したこともありました。
私がコーデイネータを務めたパネルでは、鬼木棚田協議会の原田賢一氏をはじめ、高千穂ムラたび協議会の飯干淳志会長他、九州・全国の農業の街作りを進めてきた方々が、自らの体験を熱く語ってくれました。議論の要点は3点あります。
第一に、棚田の保全と活用です。棚田という素晴らしい地域資源を守り、活かすことが必要で、そのためには、棚田に魅力を感じる国内外の方々に来て交流を活発にして、定住人口を増やしていくことが重要です。
第二に、農業のファミリービジネス化です。農業は生産だけにとどまらず、「食べるところ」「泊まるところ」「行ってみたいところ」を提供することにより、「外貨を稼いで地域を回し、雇用の受け皿を作る」ことができます。そのためには、「レベルの高い」「deepな」農村・農業を見せることが大切です。
第三に、農業の後継者育成です。棚田をはじめ、中山間地の農業後継者を育成するためには、農業・観光などのビジネスにより、収入を得るために多角化させることが必要です。農家の「事業承継」とは、受け身である相続とは異なり、「農家のこせがれ」が、時間をかけて親に提案し、実績を示すことが必要です。
農業は地域の基幹産業であり、棚田は自然環境から農村を守ってきた地域資源です。棚田を受け継ぎ、活用して、次世代に承継する経済力を蓄えることが必要です。おいしい棚田米は高く売るべきであるし、農村観光の価値も高いと思います。地域が棚田の持つ価値に気付くことが第一歩だと思いました。