コラム

NBCラジオ経済コラム (2月23日放送) まき網漁業と長崎県水産の将来

2018年03月06日

2月8日、日本政策金融公庫主催のフォーラム「九州地域における水産業の成長事業化について」が開催され、私がコーデイネータとして出席させていただきました。フォーラムの背景には、私が2年間にわたり「西日本地区大中型まき網経営者研究会」の座長を務めさせていただき、2017年12月に研究会報告書がまとめられたことがあります。今回のフォーラムは、日本の水産業をリードしている長崎県のまき網漁業の課題と解決策を考え、水産業を成長産業として将来に向けて発展させていくにはどうすればいいか、という重いテーマを取り上げています。

まき網漁業は、現在ではご存じない方も多いかと思いますが、日本の水産業を今でもリードしています。松浦港の水揚げに占める大中型まき網の比率は44%ですが、銚子港では91%、境港港でも84%と、漁業の大半を支えているのです。

今回提示されたテーマは3つで、人材の確保・輸出戦略・新船建造です。人材の確保については、まき網漁業の乗組員、魚を選り分ける地上の職員とも、確保が難しくなっています。乗組員については、水産高校へのアプローチなどを行っており、またインドネシア人の研修生を受け入れて来た企業もありますが、まだまだ不足している状況です。

輸出戦略については、まず、日本の魚の消費は減少傾向にあり、「魚離れ」が起こっています。一方、海外は日本食ブームもあって、健康のために魚を食べることが増えていて、魚価も上がっています。日本の水産業を成長させるためには、輸出に注力することも必要です。このためには、流通企業と一緒に、輸出用の魚の処理を行うHACCPという衛生基準に対応できる工場の整備などが必要となっています。また、成長が著しいアジア諸国に向けた販路開拓も必要となります。

新船建造については、漁船の安全運航や流通を円滑に行うための漁船内凍結等のために、新時代にふさわしい新船建造が必要となっています。長崎県内には多くの漁船の建造実績があり、水産庁の「儲かる漁業」などの制度を使い、さらに最新鋭の技術を備えた新船建造が求められています。

このように、長崎県のまき網漁業で起こっていることは、日本の水産業の「縮図」です。日本の魚食文化が衰退していっていることは悲しい事実ですが、現実を直視し、グローバル市場を見据えた経営戦略が求められています。ピンチは常にチャンスなのです。

  • 【日時】
  • 2018年03月06日

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ

コラム・レポート

キーワード検索