コラム

西日本新聞電子版コラム「九州地域の発展に資するIR(統合型リゾート)を」

2013年11月05日

「九州地域の発展に資するIR(統合型リゾート)を」

特定複合観光施設区域(統合型リゾート=Integrated Resort=IRと略)の整備に関する法律が、早ければ2013年秋の臨時国会にも上程される可能性が出てきました。元々同法案は、超党派で議論されてきた経緯があり、円滑な法制定が望まれます。当初は、東京・大阪等都市圏へのカジノ設置が報道されてきましたが、私は、国際観光戦略(「観光立国」)としてIRを進めるならば、九州のような地方にこそ外国人観光客を誘引できる日本の魅力があると考え、「地方版IR」を提唱してきました。また、西九州統合型リゾート研究会の有識者委員長として、2012年6月に「九州・アジア統合型リゾート構想」をまとめ、大自然豊かな長崎県佐世保市に設置しながらもアジアとの交流によって九州地域が発展するための実践的な方策を検討・公表してきました。

私は、地方版IRの必要性について、㈱電通や国際観光戦略研究所と議論してきましたが、2013年9月11日、電通汐留本社でJIRフォーラム第三回「IR導入による観光と地域政策についての考察」が開催され、アメリカの「インデイアンカジノ」や、スイスの国家戦略として推進されてきたルツエルン・グランカジノが地域と共にどのように歩んできたか講演が行われました。マカオやシンガポールなど巨大なカジノ・ビジネスとは異なる魅力を提供できる、本来の「統合型リゾート」のモデルがヨーロッパやアメリカにはあります。日本にIRが当面3ヶ所程度設置される可能性がありますが、東京・大阪など大都会だけでなく、自然・歴史文化・おもてなし力の豊富な地方にも設置して、地域の集客力から、大きく成功する可能性があると考えます。

一方、IRはカジノを含むため、「負の側面」が起こらないように十分な対策が必要です。2007年に長崎県内でアンケートによる県民意識調査をした際は、長崎県へのカジノ誘致に対しては賛成5割、反対3割、中立2割と、賛成が多く、「負のイメージ」として、ギャンブル依存症、周辺地区の治安悪化、青少年への影響があげられました。海外を見ても、ラスベガスやシンガポール等の先行事例では、これらの負の側面が起こらないように万全の対策をしており、ギャンブル依存症の問題についても、欧米の精神医学学会では治療と未然予防に関する研究論文が発表されています。

日本経済はこれまで約20年間デフレ基調が続いてきましたが、安倍政権の経済金融政策・成長戦略によって、ようやく脱却できる可能性が見えてきました。オリンピック・パラリンピック2020東京開催の決定やJR東海のリニア・プロジェクトの始動なども、日本人の心理を明るくすると思います。このような時こそ、東京・大阪間だけでなく、九州も国家戦略特区を始め、多様なプロジェクトを推進すべきであると思います。この点で、「九州・アジアIR」は、オリンピック・パラリンピック2020までに開設できる全国でも数少ない統合型リゾートです。欧米と比較して大幅に遅れてきた観光立国推進を、アジアに近く観光資源の豊富な九州から起こしていくべきであると考えます。

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ

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