コラム

NBCラジオ経済コラム(8月16日放送) 「長崎県2040年問題を乗り越えて」

2019年08月16日

 「長崎県2040年問題」という言葉をお聞きになったことはありますか?全国的に、2040年に、老年人口のピークを迎えます。長崎県では、これよりも15年早く、老年人口のピークを、2025年に迎え、2040年には、老年人口が全人口の4割になります。また、長崎県の生産年齢人口が総人口の5割を下回り、人材不足が深刻化します。

 これは、まず社会保障費や産業に影響が出ます。社会保障費に関しては、全国で医療介護費用が、2018年の50兆円から、2040年の93兆円へと増加します。特に、75歳以上の後期高齢者の一人当たり費用は、前期高齢者と比べ、医療単価は1.6倍、介護給付単価は9.7倍ですから、後期高齢者の構成比が20%と高い長崎県においては、給付費増大・医療介護費用負担増の早期到来が課題です。また、これを支える介護人材の需給をみると、2025年度で約3,300人の不足となります。

 では、2040年問題に備えて、地域は何をするべきでしょうか?

①  まず、県・市町・民間・住民を含めた広い範囲での危機意識の共有が重要です。各市町で、データに基づいて、その解決に向けた展望や方向性を提示することが必要だと思います。

②  社会の大きな変化を踏まえ、行政の「公助」に頼るだけでなく、「自助」や「共助」の意識を高め、住民主体の地域運営体制を構築することです。

③  元気な高齢者や女性の活躍を支える環境を整備し、住民主体の地域運営体制を作ることです。

④  AI/ロボット/IoT/5Gなどの先進技術を長崎県の課題解決につなげ、新たな産業振興を図るため、情報通信基盤整備や、人材育成に積極的に取り組むことも必要と思います。

 最後に、2040年問題を、人口減少・高齢化のマイナス面だけでとらえるのではなく、それらを緩和する努力はしつつも、一人当たり地域総生産、すなわち「経済的豊かさ」を維持しながら、若者にとって希望の持てる産業構造を形成し、アジア・新技術を軸としながら、次の成長発展につなげていく前向きの政策発想も必要であると思います。

  • 【日時】
  • 2019年08月16日

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ

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