コラム

NBCザ・チャージ(6月1日放送)「近年の自然災害激甚化と安全・安心な街づくり」

2021年06月01日

平成3年6月3日に起こった雲仙・普賢岳噴火による火砕流発生で死者・行方不明者43人となったこと、記憶に新しいと思います。今年2月には、「雲仙岳火山防災計画」が改定され、火山噴火対策と平常時からの防災啓発と訓練が書かれています。火山噴火だけでなく、近年、台風・大雨・地震など、自然災害が激甚化していますこれらの災害に対して、事前・事後の対策をあらかじめ検討し、日ごろから災害に備えることが必要です。

全国の防災計画などを研究している者として特に重要なことは3つあると思います。

第一に、「地域防災計画の改定・見直し」です。台風・大雨・竜巻の大型化・頻発化が毎年観察されるようになり、従来の防災計画では対応しきれない被害に対応するために、防災計画の見直しが必要となります。実際にR1年の台風15号に見舞われ、鉄塔が倒れ、停電が長期化した被害のあった千葉県では、①災害即応のため、配備基準を見直し、情報収集を待つことなく、土砂災害警戒情報・氾濫危険情報は発表された時、「災害即応体制が自動配備されることになっています。

.第二に、「自主防災組織の組成」です。これは、市町村が組成する「消防団」とは別の組織で、例えば、日ごろの火の用心の見回りや消火訓練などの予防・応急処置が役割です。火災だけでなく、地震や台風などの突発事態への対応も行います。この背景には住民の行政活動への関心への高まりがありますが、同時に、都市化・少子高齢化・核家族化などにより、担い手が減少しています。市町村の消防団のように制度化された消防団でも、団員が減少しており、災害時の即応力が弱まってきています。「安全・安心な街づくり」の第一歩として、自主防災組織を充実させていくことが必要です。

第三に、「避難への構え」です。災害の事前に市町村がどれだけ情報提供しても、住民一人ひとりが防災を自分の問題としてとらえ、「とにかく安全な場所に避難する」という心構えを持ち、①台風・大雨・地震等の場合にどこに、どのような経路で避難するかを調べておくこと、②当面の水・保存食の確保や、スマホの充電など、災害時にしばらくはしのげる準備を日ごろからしておくことも大事です。とにかく「自分と家族の身は自分たちで守る」という意識を常に持つことだと思います。

2020年に直面した課題が複数の災害の同時化です。我々は「複合災害からのリスク回避」と呼んでいますが、台風・大雨・地震・パンデミックなど複数の災害可能性が同時にある場合、「命を守るためにはどのリスクを真っ先に回避すればいいか」を考える必要があると思います。足元に洪水が迫っているときは、まずは避難所や高台など安全な場所に非難することが重要ではないでしょうか?避難所がいっぱいの場合などは、友人宅や、ホテルに避難するということも緊急事態の場合は考える必要があるでしょう。

最後に、近年雨量が増加していることを考えると、現在安全と思われている川の流域も危険な区域となりうると思います。防災マップの更新などを定期的にしていく必要があり、ビルの1階部分なども水位の上昇により水没の可能性がないかのチェックも必要となると思います。

  • 【日時】
  • 2021年06月01日

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ


みずなし本陣から普賢岳を望む


みずなし本陣 被災跡地の展示