コラム

NBCラジオ「メタバースと長崎・佐賀・九州」2021.11.23放送

2021年11月25日

今日のテーマは「メタバースと長崎・佐賀・九州」です。「メタバース」という言葉を聞かれたことはありますか?これは、インターネット上の仮想現実のことで、1992年、SF作家のニール・ステイ―ブンスンが「スノウ・クラッシュ」の中で初めて使った言葉です(注)。今、これがクローズアップされているのは、facebookの創業者兼CEOである、マーク・ザッカーバーグ氏が、今年初めに、facebookを、social media platformから「メタバース企業」へ変革させると語ったことにあります。

では、「メタバース」とはどんなことでしょうか?まず、「仮想現実(AR=augmented reality)」という言葉があり、これは、「ユーザーが個別独立した空間で様々な体験を得る。」ものです。例えば、軍艦島に行ってなくても、画像で軍艦島の立体映像の中に自分がいるかのように感じさせる映像技術です。よく、ゴーグルや眼鏡をはめて、仮想現実の空間を感じるシーンが紹介されていますよね。「メタバース」とは、多数のユーザーが仮想共有空間で同じ事象を体験できるものです。これにより、複数の人が同じ体験ツアーに参加したり、複数の人がサッカーや野球など球技を仮想空間で楽しむことができるようになります。

次に、メタバースが普及するかどうかですが、確かに、日常的に仮想現実(AR)端末を使っている人は、今はまだ限られていますが、先ほど述べた観光やゲームだけでなく、私が知る例でも、整備士の遠隔操作教育や、住宅設計・建設のデザイン・シミュレーション等、空間認識が必要な分野での疑似体験として、使われ始めています。

では、実際にメタバースはどのように使われるのでしょうか?すでに報道されているように、アメリカのfacebookは、メタバースのplatformを提供することを最近も宣言しましたし、nvidiaも、AIと組み合わせて、ビデオゲームや映画などの分野で、利用することを11月に公表しました。また、スポーツ用品のNIKEは、メタバース店舗でのシューズ販売など、物販に利用することを公表しました。

これらはアメリカの例ですが、日本でもメタバースを研究開発している企業があります。また、メタバースを活用することにより、様々な旅行商品を開発したり、NIKEの例にもあるように、農産品など物産振興が促進される可能性があります。また、仮想現実(AR)としてすでに利用されているように、多数のひとが同時に教育をメタバース空間で受けられたり、ゲームやオンライン医療や、広報宣伝にも大いに使われると思います。メタバース空間で見たり、経験した興味ある観光地に、実際に行きたいと思うようになるではないでしょうか?

でも、普及はかなり先になるのではないかという方もおられますが、そうとも言えないと思います。冒頭お話しさせていただいた、SF作家の作品が1992年で、約30年で夢物語が現実化していることを考えれば、速いスピードで進む可能性もあります。AIを使った車や船や小型機の自動運転がすでに実用化されようとしていることを考えても、事故のリスクが小さい分野でのメタバースは2-3年で普及する可能性があります。

最後に、普及するための課題ですが、私は、コストや価格に課題があると考えています。今は特に、半導体供給が制約され、価格も高いので、自動車・PCを始め、すべての分野で停滞しています。でも、これはいつまでも続くとは考えられず、普及してくれば、価格や導入コストも低下してくると思います。ゲーム的だと思う世界が源現実になる日も、そう遠くないように思います。

(注)メタバースという用語は、メタ(meta=超越した)+バース(universe)の合成語。

  • 【日時】
  • 2021年11月25日

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ